ウォーターポンプを使って高所に届く噴霧器を作ってみた
Contents
なぜ高所への噴霧
栗の木
きっかけは高さが約10mの庭の栗の木の防虫をしたかった。
毎年、自分の庭で栗の実が採れるのだが、残念ながら98%の確率でクリシギゾウムシにやられている。
色々と調べてみたところ、クリシギゾウムシは8月~10月にかけて羽化、9月から10月にかけてまだ栗の実の皮が薄いうちに産卵して、孵化した幼虫が中の実を食べて育った後、穴を開けて中から出てくるらしい。
つまり穴が開いている栗の実は「時すでに遅し」なので産卵前にクリシギゾウムシの産卵を防がなくてはならない。
その為に噴霧器で産卵防止の農薬を噴霧しようと思ったのだが庭の栗の木はかなり大きくて高さは約10m。
小布施あたりでは栗の木は大きくならないように上の方を切って高さを低く抑えるらしい。
そうすることで下の方の枝にも日が当たるようになって下の方に実がなるのと、農薬の噴霧が楽になるとの事。
庭の栗の木もいずれは上の方を切るとしても、まずは高所まで農薬を噴霧できる噴霧器を試してみる事にした。
噴霧器
最初に試してみたのはこちらの製品。
手動で両手で上下にシュコシュコとピストンの様に往復させる事で先端のノズルから噴霧できる。
とりあえず水で試したのだが先端のノズルを締めると霧状、開けると直線上に水が飛び出して遠くまで届く様になっている。
霧状の場合はノズルから先の遠くには届かないので実質本体部分の長さである1m程度の所までしか噴霧できない。
一方、水が勢い良く飛び出すようにノズルを調整すると約3~4mは届くことが分かった。
木の高さが4~5m程度であればこちらの製品だけでも良かったのだろうが、
- もう少し先まで噴霧したい
- 農薬なので霧状にして噴霧したい。その方が少ない農薬で広範囲に噴霧できる
上記の理由から上記の製品にポンプ、ホースを買い足して、より高いところまで噴霧できる装置を作ってみることにした。
噴霧器の構造からして水を吸い上げるホースにポンプで強制的に水を送り込んでやれば先端から噴霧されるはずと考えた。
概要図
概要図は以下の通り。
- バケツに溜まった水(農薬)をウォーターポンプで吸い込んで噴霧器に送り込む
- ウォーターポンプはDC12V、ACアダプター(100V → 12V)で給電※
- ホースの長さは10m
- 家にあった伸縮式の高枝切鋏(最大長約3m)に結束バンドで固定。これで上手くいくようならもう少し長いポールで試してみる予定
※ 電源が近くにあるのでACアダプターを使用したが自動車用バッテリー(12V)でもいけるはず。
購入したモノ
噴霧器に追加して以下のモノを購入・用意した。
ウォーターポンプ
ダイヤフラム式ウォーターポンプ。
- 電圧:DC 12V
- 消費電力:60W
- 流量:5リットル/分
- 圧力:0.85 MPa(メガパスカル)※
- ダイヤフラム式
※ 10mの揚程(ポンプが水などの流体を揚げる高さ)で約0.1MPa必要なので、充分な性能と判断した。
動作音はそれ程大きくないので田舎で使う分には全然問題は無いが住宅地であれば早朝などは避けたほうが良いかもしれない。
ACアダプター
家庭の 100V のAC電源を DC 12V に変換するアダプターを購入した。
ウォーターポンプの最大消費電力が 60W(動作時は30W程度)なので 5A の製品を選択している。
- 入力:100V 〜 240V
- 出力:12V 5A
- DCプラグ:外径(5.5mmφ)× 内径(2.1mmφ)
ポンプから出力されているリード線を接続するためのコネクターが付属していたのでこの製品を選択したが、外径5.5mm x 内径2.1mm の接続コネクターは単独でも購入できる。
12V 5Aの ACアダプターは色々な製品に使われているので、ACアダプタを既に持っているのであればコネクターだけ購入して ACアダプターは別に用意しても良いかも知れない。
また、家庭用100V電源が届いたのでACアダプターを購入したが、届かない場所での作業であれば車用のバッテリー(12V)でも良いと思う。
但し、その場合はスイッチでオン/オフできる機構を付けた方が操作性が良いだろう。
ホース
今回、一番選択に迷ったのがホースだ。
ポンプに合うサイズは内径:8㎜ 外径:11㎜ なのだが、このサイズで0.85 MPa の圧力に耐えられて長さが 10m で手頃な価格のホースが見つからなかった。
このサイズだとどうしてもビニール製のやわいホース(0.4MPa程度)か、お値段高めの高性能耐圧ホースになってしまう。
結局、微妙に耐圧が足りないが(0.7MPa)長さと価格重視での以下の製品を選択した。
また、内径が9mmと推奨と比べると 1mm 程大きいが、これぐらいであればホースバンドで止めれば何とかなると判断した。
- 長さ:10m
- 耐圧:0.7MPa
- 耐熱温度:60度
- サイズ:内径9mm、外径13mm
もうひとつの問題はポンプの推奨の外径:11mm に対してこのホースの外径が 13mm で 2mm ほどオーバーサイズであること。
ゴム製なので 2mm ぐらいは何とかなるだろうと思って購入して力技で何とか押し込めたが正直かなりきつかった。
ホースバンド
上記のホースを噴霧器に止める為のホースバンド。
内径 9mmのホースはポンプにはピッタリだったのだが噴霧器にはやや大きかった。
そのため、差し込んだだけでは抜けてしまうのでホームセンターで購入したホースバンドで固定した。
高枝切鋏
先程の噴霧器(とホース)を付けて長さを延長する為の器具。
まずは家にあった高枝切鋏に結束バンドで接続して動作テストを行ってみた。
収縮式の高枝切鋏は長さが3mほどなので噴霧器の長さ(約1m)と合わせて4m程度の長さだが正常に動作するかどうかのテストをする分には充分だ。
動作するようであれば10mほどのポールを購入しようと思っている。
結束バンド
噴霧器と高枝切鋏を固定するのに使用した。
以前にホームセンターで購入した結束バンドを使用している。
組み立て
ウォーターポンプのキャップを外す
ウォーターポンプの吸水、排水のネジ式の青色のキャップを外して中の赤色のキャップも外す。
出荷前の動作テストを実施したのか、中から液体(おそらく水)が多少出てきたが特に問題はなかった。
吸水ホースを繋ぐ
噴霧器に付属してあった透明の吸水用ホースをウォーターポンプの吸水口に繋いで青色のネジ式のキャップで締めて止める。
ホースの内径は7mm前後(ポンプ側は8mm)なので、かなりきつい。
ゆっくり(無理やり?)押し込んだが、下記の写真の通りかなり膨らんでいる。
割れてくるようであれば前述の10mのホースを一部切断して吸水用に回そうと思う。
吸水ホース
排水ホースを繋ぐ
続いて排水用の10mのホース(黒色)をウォーターポンプの排水口に繋ぐ。
こちらのホースは外径が13mmなので青色のネジ式のキャップ(内径は約11mm)の内側に通すのにかなり苦労した。
ホースが思ったより硬かったので押し曲げて(無理やり?)何とか通したが、内径9mmの方はピッタリだった。
噴霧器とホースを繋ぐ
排水用ホースと噴霧器を繋ぐ。
この際、ホースの内径が若干大きいので前述のホースバンドで固定している。
電源アダプタコネクタ
ウォーターポンプの電源(赤・黒のリード線)をACアダプタに付属のアダプタコネクタに接続する。
- 赤:プラス
- 黒:マイナス
に接続する。
コネクタ上部のプラスネジを締めることでリード線を固定する。
水没する訳ではないが水に近い所で使用するので出来れば防水したいのだが、ACアダプタとのコネクタ部もあるので完全な防水は難しい。
使用時に該当部を何かで覆うなどの簡易的な方法で対応したいと思う。
噴霧器を固定
噴霧器を結束バンドで高枝切り鋏に固定する。
高枝切り鋏は長さが3mしかないのであくまで動作テスト用に使用した。
後で外す事を想定して結束バンドを使用したが、本来であればもう少しきちんと固定したほうが良いと思う。
完成形
以下接続した所(高枝切り鋏からは外している)
動作テスト
1Fのウッドデッキにポンプ、噴霧器を2Fに持っていき、更に高枝切り鋏を使って地上から 7 ~ 8mの高さで噴霧した所、問題なく噴霧が出来た。
ただ、ポンプの安全装置が働くためか連続して使用している時に一定の圧力が掛かると自動的にポンプが一時停止する。
そして数秒間、噴霧器から水を噴霧してホース内の圧力が減少するとまたポンプが稼働するという断続的な動作がみられた。
恐らく圧力がかかりすぎてホースが破裂してしまうのを防ぐ機構だと思われる。
いずれにしても問題なく動作したので今度はより、長いポールで試してみたいと思う。
以上で今回の記事は終了とする。
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