歯車の組み合わせを数学を使って考えてみる ~レゴマインドストームEV3~
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歯車の組み合わせについて
教育用レゴマインドストームEV3に入っている主な歯車について組み合わせる時のパターンについて考えてみた。
考えてみたのは以下の7種類
複数の歯車を組み合わせるときに直線上で隣り同士で簡単に組み合わせる事ができる時と隙間が空いてしまうのでちょっとした工夫が必要な時がある。
正しく組み合わさるパターン | |
隙間が空いてしまうパターン |
この様な違いが発生する理由と対策について考えてみた。
ブロックの間隔と歯車のサイズ
まずは基本的な数字を抑えておく。
ブロックの軸穴と軸穴との間隔をノギスで測ると8mmであることが分かった。
10穴=80mmなので1穴は8mm
次に歯車の半径を測るのだが歯車の中心から先端までのサイズを測るのでは無く「先端から歯車の高さの半分まで」とした。
これは歯車が組み合わさった時にお互いに重なる部分があるので、その分を差し引いた数字を歯車が必要とする半径とした。
すると歯車数の半分の数値が必要な半径(mm)になっている事が分かった。
歯車数 | 半径(mm) |
8 | 4mm |
12 | 6mm |
16 | 8mm |
20 | 10mm |
24 | 12mm |
36 | 18mm |
40 | 20mm |
組み合わせ
複数の歯車を組み合わせた時に必要な距離は上記の表のお互いの半径を足した数字になる。
具体的には歯車数12(6mm)と歯車数20(10mm)との組み合わせは6mm+10mmで16mmの距離が必要となる。
この距離が8の倍数の時は軸穴が存在するので直線上で組み合わせる事ができる。
一方、8で割り切れない時、例えば歯車数20(10mm)と20(10mm)は距離が20mmとなるので単純に直線上で組み合わせる事ができない。
組み合わせた時の必要な距離と8で割った時の余りを表にしたものを以下に示す。
表1.
2つの歯車を組み合わせた時の距離(mm)と8で割った余りの関係
歯車数 | 8 | 12 | 16 | 20 | 24 | 36 | 40 |
8 | 8ー0 | 10ー2 | 12ー4 | 14ー6 | 16ー0 | 22ー6 | 24ー0 |
12 | 10ー2 | 12ー4 | 24ー6 | 16ー0 | 18ー2 | 24ー0 | 26ー2 |
16 | 12ー4 | 24ー6 | 16ー0 | 18ー2 | 20ー4 | 26ー2 | 28ー4 |
20 | 14-6 | 16-0 | 18-2 | 20ー4 | 22ー6 | 28ー4 | 30ー6 |
24 | 16-0 | 18-2 | 20-4 | 22-6 | 24-0 | 30-6 | 32-0 |
36 | 22-6 | 24-0 | 26-2 | 28-4 | 30-6 | 36-4 | 38-6 |
40 | 24-0 | 26-2 | 28-4 | 30ー6 | 32-0 | 38-6 | 40-0 |
背景色がピンクの組み合わせは8の倍数(余りがゼロ)、一方余りが4の組み合わせは背景色を青にしている
余りが4の組み合わせ
余りが4の場合(背景色が青)は軸穴と軸穴の間隔が8mmなので、その半分だけずらせば組み合わせることが出来る。
4mmだけずらす方法は幾つかあるが代表的なのは以下のブロックを使うパターン。
方法1 | 方法1 16:24 |
方法2 | 方法2 36:36(36mm) |
余りが2や6の時の組み合わせ
やっかいなのが余りが2や6のパターン。
正直、上記の4mmずらす時の様に「このパーツを挟めばOK」というパターンは見つけられなかったので別のアプローチをしてみる。
直角のブロックを使うパターン
直角のブロックを使って1と2の軸穴に斜めに歯車を配置して最適な距離のパターンが無いかを探る。
斜めの距離は直角三角形の斜辺の長さになるので三角関数を使えば求める事ができる。
上記の計算式より縦横の組み合わせをGoogleのシートを使って計算した所、以下の表になる。
表2.
三角関数 軸穴間の数(距離)と斜辺の長さ(mm)の関係
軸穴数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
1 | 11.3 | 17.9 | 25.3 | 33.0 | 40.8 |
2 | 17.9 | 22.6 | 28.8 | 35.8 | 43.1 |
3 | 25.3 | 28.8 | 33.9 | 40.0 | 46.6 |
4 | 33.0 | 35.8 | 40.0 | 45.3 | 51.2 |
5 | 40.8 | 43.1 | 46.6 | 51.2 | 56.6 |
※小数点以下2桁目を四捨五入
例えば縦に2軸穴、横に3軸穴分だけ移動した軸穴同士の距離は28.8mmになる。
上記の表2を使って表1の余りが2または6(色が付いていないセル)で距離が近いものについて歯車がうまく回るかをすべて試してみる。
その結果以下のパターンの時に歯車が噛み合うことが分かった。
距離が18mm | 距離が18mmの組み合わせは1×2軸穴(17.9mm)で下記の2パターン
| ||||
距離が22mm | 距離が22mmの組み合わせは2×2軸穴(22.6mm)で下記の2パターン しかし若干かみ合わせが甘くてガタついているので後述の斜めのブロックを使うほうがオススメ
| ||||
距離が26mm | 距離が26mmの組み合わせは1×3軸穴(25.3mm)で下記の2パターン こちらは若干硬めなので高速回転させる時には注意が必要
|
直角ブロックを使っての可能な組み合わせは以上。
しかしまだ10mm、14mm、30mm、38mmのパターンが見つからない
鈍角(126度)のブロックを使うパターン
鈍角のブロックを使うパターンを検証してみる。
しかしこのブロック、てっきり角度は120度だと思っていたら違うみたい。
3枚合わせた時に重ならない、分度器で測ってみたら126度だった。
直角三角形では無いので三角関数ではなく余弦定理を当てはめて対角線の長さを計算する。
同じくGoogleシートを使って計算すると以下の表になる
表3.
余弦定理 軸穴間の数(距離)と斜辺の長さ(mm)の関係
軸穴数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
1 | 14.3 | 21.7 | 29.4 | 37.3 | 45.2 |
2 | 21.7 | 28.5 | 35.8 | 43.4 | 51.1 |
3 | 29.4 | 35.8 | 42.8 | 50.0 | 57.5 |
4 | 37.3 | 43.4 | 50.0 | 57.0 | 64.3 |
5 | 45.2 | 51.1 | 57.5 | 64.3 | 71.3 |
※小数点以下2桁目を四捨五入
上記の表3を使って表1の余りが2または6(色が付いていないセル)で距離が近いものについて歯車がうまく回るかをすべて試してみる。
その結果以下のパターンの時に歯車が噛み合うことが分かった。
その他
これで表1の組み合わせはほぼ網羅できた。
しかし8歯車×12歯車(距離10mm)だけは計算式からは見つけることができなかった。
組み合わせをご存知の方はコメントを下さい。
最後に動画
この記事の内容を動画にしている。
実際に歯車の組み合わせ具合を見てみたい人は参考にしてほしい
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